≪一般向け≫No.3 子宮頸がん予防ワクチンについて、きちんと知ろう!!

113号 一般向け番外編               2024.7月

      子宮頸がん予防ワクチンについて、きちんと知ろう!!
    
            男性への影響は??

車内広告などでもよく目にする子宮頸がん予防ワクチン(HPVワクチン)ですが、ワクチン接種は本当に必要なのでしょうか?

この子宮頸がん予防ワクチン。なんと、女性だけではなく男性も接種対象なのです。

今回のテーマは、

「男性への子宮頸がん予防ワクチンの是非」

                     について

・子宮頸がん予防ワクチンとはどのようなものか

・予防のため…、と言うが、害はないのか

に着目しながらお話していきたいと思います。

最初に、結論から述べます。

 子宮頸がん予防ワクチンは、効果がなく害が大きい

 男性にも女性にも、使ってはいけません

 

理由を説明する前に、まずは子宮頸がん予防ワクチンとは何なのか、から見ていきましょう。

▽子宮頸がん予防ワクチン(HPVワクチン)とは??

 HPVとは、ヒトパピローマウイルスの略称です。ヒトパピローマウイルス(HPV)は、私たちの皮膚、肛門、外陰部、口腔、咽頭部の粘膜に住む常在ウイルスです。つまり、健康な人の体内にも存在しているのです。普段はおとなしいこのウイルスが悪さをするとき子宮頸がんの原因になります。そのため、予防を目的としてHPVワクチンは開発されました。

 

 

交渉の際に、感染すると聞いたことがあります。

それは本当ですか?

性交渉で、人から人にうつるの??

 

確かに、HPVワクチン接種の推奨文にもそう記載されています。

が、未経験同士の性交でも感染するので、うつると言うよりかは

実際もとも自分が持っているHPVが、性交による小さな傷から子宮頸部の粘膜細胞内に感染するという説明のほうがしっくりきますね。

確定ではないのですが…

 性交を経験した女性の大部分はHPVに感染します。ですが、本人の免疫力でほとんどが排除されます。

 

へぇぇぇ…

そんなに感染してることは意外でした。

感染したからって絶対がんになるわけじゃないんですね。

  では、次にHPVワクチンの歴史を振り返ってみましょう。

▽HPVワクチンの経緯

2006年

 

2009年

 

2011年

米国でHPVワクチンが開発

販売開始

日本での接種開始

商品名はサーバリックス(2価)

ガーダシル(4価)も接種開始

 

2010年から2013年にかけて、自治体による公費負担が拡大して、1996年~1999年生まれの女性の約75%がHPVワクチンの接種を受けたと推定されています。

2013年

定期接種移行直後に、重篤な神経障害などの害が明らかになり、

積極的推奨取り下げられる。

 

このために、

2014年~2017年の間に接種した人は、接種対象とされた女性の1%未満に激減しました。

2020年

 

2021年 2月

 

2022年

積極的推奨取り下げ環境下で、男性のHPV感染予防にも適応承認

 

 

シルガード(9価)販売開始

 

 

HPVワクチン積極的推奨再開

積極的推奨とは、個人への個人通知で予防接種をすすめることです。

約9年ぶりに再開されたのもあってか、HPVワクチンを一回でも受けたことある女性の接種率は上昇傾向にあります。男性については不明です。

≪近年の女性のワクチン接種率≫

2021年度

 

2022年度

 

2023年度

(9月まで)

    37.4%

     

    42.2%

 

    39.9%

データより、女性の接種率は上昇傾向にありますね。

HPVワクチンの接種費用は、適齢の女性には公費負担がありますが、男性は現在自己負担です。

お値段は、3回接種で約5万円必要。なかなか高価です。国の委員会で、効果の割には費用がかかりすぎる、といった理由で公費負担が見送られています。ただし、自治体が公費助成する動きはあります。もし、公費負担が実現すると男性の接種も拡大する可能性があります。

 

 

ワクチンの名前の後ろに「~(〇価)」という表記がありますが、これは何ですか?

 

これは、ワクチンの中に含まれる「型」の数を示しています。

HPVは、ウイルスの核の部分(カプシドという)の遺伝子型が、100種類以上もあります。

簡単に言うと、HPVと一言で言っても、めちゃくちゃたくさんの種類がある!ということです。

少し紹介すると、

肛門周囲や外陰部にできるいぼの一種の尖圭コンジローマは、6型と11型。

子宮頸がんや肛門がんなどは、16型と18型のほか、31,33,45,52、58型が関係しています。

 

サーバリックスは16型と18型を含む2価ワクチン

ガーダシルは16型と18型に、さらに6型と11型を加えた4価ワクチン

 つまり、「〇価」のワクチンは、〇個の型を含んでいることになります。

 

 

 

どのワクチンも、接種対象は男女両方ですか?

 

いいえ。

男性用は、4価ワクチンのガーダシルのみが適用されます。

そして、もう1度言いますが、男性は自費出費です。

 

さっきの、国が効果の割には費用がかかりすぎるって言うのが気になってるのですが…

男性への感染予防の効果って、どのくらいなんですか?

それがね~

尖圭コンジローマは予防できたのですが、がんの予防効果については不明なんですよ。

むしろ、「がん死亡率が増える」のではないかと、現在精査中です。

男性に対する感染予防について、海外と日本での実験結果から、どうやら尖圭コンジローマは予防できるようですが、がんの予防効果については不明です。しかし、男性の研究データはまだまだ少ないです。

そこで、実際によく研究されている女性に接種した場合、効果が本当にあるのか、安全なのか、の検証がまず必要です。

 

子宮頸がん予防ワクチンについてのこと

だいぶわかってきたので、

「なぜ使ってはいけない」のか、教えてください!!

 

素晴らしいです。それでは、

「なぜ使ってはいけない」のか、お話していきましょう!

▽HPVワクチンを使ってはいけない理由

 HPVワクチンが、子宮頸がんになるリスクを下げる、と思われている方もいらっしゃると思います。

確かに、大規模な疫学的な調査が実施された結果、接種した女性の方が接種しなかった女性に比べて子宮頸がんが少なかったという報告が、これまでに少なくとも5件あります。そして、ワクチンメーカーも、各国政府やWHOも、学者も、こぞって、それらの結果で、HPVワクチンで子宮頸がんが減るといっているので、無理もありません。

 

 しかし私たちは、これらの疫学調査の結果からは、子宮頸がんを減らしたとは言えないと結論づけました。

このことを説明するカギとなるのが、

   「健康者接種バイアス」

ちょ・・・ちょっと待って!

一回、ストップ。

 

いきなり新しい言葉、言われても・・・

 

 

 

大丈夫。大丈夫。説明するよ。

じゃぁ、いきなりだけど質問です。

 

ワクチンを「接種した人」と「しなかった人」と言っても、いろんな人がいるでしょう?まったく同じ人どうしではないですよね?

 

それはどんな違いかな?

 

 

 

性別とか・・・

年齢もだし・・・

あ、持病があったりなかったりもするかも!!

 

 

その通りですね。そこが大事です。

接種した人と、接種していない人とを比較するときに、年齢や性別や健康状態などが異なっていたら、それは正確な比較とは言えないでしょう?

 

何かを比較するためには同じ状況にそろえる必要がありますね。

同じ状況下で比べたときに、初めて違いがわかるかも!

 

そう言えば・・・

ワクチンを接種するとき、熱があったりするとでないと接種できないですよね。

いいところに気が付きましたね!!

 つまり、ワクチン接種者は非接種者よりも健康と言えます。

 このために調査結果に歪み(偏り)が生じることを一般的に

       「健康者接種バイアス」

 と言うのです。

 

 

 

 なるほどー!

 

 そして、年齢や性別、健康状態などいろんな条件が

 なるべく同じ状況にそろうようにすること

    「補正する」または「調整する」

 といいます。

 しかし、どの調査でもこの調整は行われていません。

 とても大事なことなのにね。

 「薬のチェック」では、この部分をしっかり考慮した情報を

 お届けしています。

「子宮頚がん」と「HPVワクチンで予防不可能ながん」

減り方は同程度でワクチンの効果とは言えない

 

 HPVワクチンは、子宮頸がんなど、ヒトパピローマウイルス(HPV)が関係したがんを減らすことができるかもしれませんが(確定ではありませんが)、乳がんや甲状腺がんなどHPVが関係していないがんまで減らすことは決してできません。

 

 海外でのいくつかの調査で、それは言えることなのですが、一番のポイントは、先に説明した、

   「ワクチン接種者は非接種者よりも、もともと健康」という偏りが最初からあること

 です。

「健康者接種バイアス」は、ワクチンの調査では、効果も、安全性も必ず過大に評価することにつながる要因になります。ですから、疫学研究では必ず「健康者接種バイアス」の影響を排除する工夫が必要なのですが、どの調査も、まったく考慮していません。

 ここでは、HPVワクチンの子宮頸がん抑制効果は、HPVが無関係のがんの減少と同程度、つまり「健康者接種バイアス」と同程度ですので、「HPVワクチンの効果とは言えない」ということを述べておきます。

 詳しい解説は、本誌107(p69-71)で紹介していますので、そちらを是非ご覧ください。

 ★詳しい説明や、研究データの補正前、補正後のグラフ等

  本誌に掲載しているのでそちらをご覧ください

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★HPVワクチンを接種すると、

    免疫を全般的に抑制するため、がんや感染症に全般的にかかりやすくなる可能性がある

 

HPVワクチン接種後の女性に自己免疫疾患や認知障害・運動障害などの難病が多発し、総死亡もがん死亡も増えています。

 害反応の報告例は、女性を対象とするものが多いですが、男性に接種後の害反応についても報告されています。男性の疫学調査でも各種自己免疫疾患が増えています。

HPVワクチンを接種すると、

  ・免疫を全般的に抑制し、さまざまながんや感染症にかかりやすくなる

  ・自己免疫疾患や認知障害・運動障害などのあらゆる神経障害が起こりうる

  ・男性への接種でも死亡例

  ・悪性腫瘍の増加、死亡を増やす

    男性にも女性にも、接種しないことが賢明だと判断する

        「薬のチェック」では、気になる医療情報を掲載した情報誌を

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≪一般向け≫No.2 「コロナ」ワクチンは無効!? それどころか・・



「コロナ」ワクチン(正式にはSARS-CoV-2ワクチン)を打っても

変異したオミクロン株のウイルスには効かない

それどころか・・・

「コロナ」ワクチンはCOVID-19を2倍超に増やしている!?

 よく耳にするファイザーワクチンやモデルナワクチンなどの「コロナ」ワクチンは、開発された当初、欧米で激しく流行していましたが、変異があまり著しくなかったこともあり、COVID-19の発病を95%予防していました
ところがその後、ウイルスは、アルファ株やデルタ株、オミクロン株と変異を繰り返し、昨年(2022年)の冬から日本でも大流行したオミクロン株に至っては、ほとんどワクチンが効かなくなってきたのです。(薬のチェック106号参照)

その証拠として、イスラエルの調査[1]を簡単に紹介します(薬のチェック104号[2]で詳しく解説)。

 

 ワクチン4回目を接種した人と、接種3回目までの人のCOVID-19発症リスク(発症しやすさ)を比較すると、4回目を接種した人の発症率が接種3回目までの人よりも低かったのでした。

 4回目接種後7-30日後にはCOVID-19の発症は、接種3回目までの人の45%でした。

 この結果は、一見ワクチンが効いているように見えます。

そのため、この論文の著者らは、100-45=55%、つまり、発症を55%防止したと報告しています。

 

 しかし、調査結果をよく吟味すると、4回目を接種した人は、接種した初日からすでに、接種3回目までの人の45%の割合しか発症していませんでした(図1Aで1日目の罹患率比IRR=0.45)。

 

 ここが、注目すべきポイントです。

ワクチンは、体にウイルスをやっつける抗体が作られてからでないと力を発揮しないため、接種したその日に効果はでません。
追加接種(2回目以降の接種)では、1回目の接種に比べて抗体の作られるスピードは速いですが、それでも初日から効くことはありません。

 つまり、発症率(罹患率)が低かったのは・・・

 

4回目を接種した人は3回目までの人よりも、もともと健康であったからだ

 

 ということを示しています。

加えて、初日の健康状態は、ワクチン接種日以降の発症のしやすさにも影響してきます。
そのため、初日の健康状態が今後も続くはずだと仮定して、接種後のデータを補正する必要があります。
 様々な影響を加味したうえで計算をすると、

 

ワクチンが効いているとは全く言えない!!

のです。

 初日の発症率の違いをもともとの健康状態の違いとして、その後の発症危険度を補正すると(図の下に「補正」の解説あり)、接種後28~30日目には、ワクチン4回目を接種した人は接種3回目までの人よりも少し発症者が多くなる兆候が現れていたので

 もっと長期間観察すれば、発症者はさらに増えるのではないか、と推察されました。

 そこで紹介するのが、ワクチン4回目接種後、半年間追跡した結果です。

イスラエルの調査[3]

  イスラエルの調査[1]のデータを見たときに、とても気になっていました。

(追跡調査における対象が、医療従事者で前回の一般人口と異なっていますが、その問題については文末のQ&Aコーナーで触れます)。

 

 次の図は、ワクチン3回接種者に対する4回接種者のCOVID-19へのかかりやすさの推移を表しています。

 Magenらのデータ[1]がイスラエルの調査[1]、Canettiらのデータ[3]がイスラエルの調査[3]の結果となります。

 

  図: 3回接種者に対する4回接種者のCOVID-19へのかかりやすさの推移     

   (SARS-CoV-2ワクチン:イスラエル一般人口と、医療従事者) 

~図の説明~

[1]イスラエル、一般人口、30日まで追跡、[3]イスラエル、医療従事者、181日まで追跡。A:補正前は、報告者の報告結果どおり。B:補正後は、全IRRをそれぞれ、[1]における初日のかかりやすさ□(IRR=0.45)で割った(除した)危険度。こうすることで、4回接種者と3回接種者の健康度をそろえる(出発点を公平にする)ことができる。補正前の[1]の14-30日□(中央値22日)と[3]の7-35日□(中央値21日)の危険度がいずれも0.48と同じであるため、[3]の補正のために[1]の初日のかかりやすさ□(IRR=0.45)を用いることができると考えた。なお[1]の中央値を21日にそろえるために12-30日の危険度を求めると、0.49(0.47-0.51)とやはりほぼ同じであった。IRR: incidence rate ratio(罹患率比)、adIRR:補正罹患率比、HR:ハザード比、adHR:補正ハザード比:95%CI:95%信頼区間、LL:下限、UL:上限

  図の中に、補正前と補正後とありますが

 

     補正とはなんですか?

 接種した人と、接種していない(またはできなかった)人とを比較するときに、

 その人の年齢や性別や健康状態などが異なっていたら正確な比較とは言えないでしょう?

 だから、なるべく同じ状況にそろうようにすること

    「補正する」または「調整する」

 と言います。

 

 確かに・・・

 比較するためには同じ状況にそろえる必要がありますね。

 そう言えば・・・

 ワクチンを接種するとき、健康状態でないと接種できないですよね。

 

  その通りです。

  ワクチン接種者は非接種者よりも健康です。

  このために調査結果に歪み(偏り)が生じることを一般的に

  「健康者接種バイアス」と言います。

   

     「比べる」ことって、奥が深いんだなぁ~・・・  

   なるべく同じ状況となるように仮定して

   調整されたものが、B.補正後のグラフなんですね!

 

 図のA.補正前での[3]の7-35日□を見てください。

 ■が縦線(1.0)よりも左にあり、危険度の表示(HR:ハザード比)が0.48となっています。論文の著者らは、ワクチン接種で、接種後1週間から1か月程度は感染・発病を半分にし、3か月目までは40%程度少なくしたと言っています(図:A補正前)。

 4回目のワクチンを接種した(できた)人と3回目までで接種をやめた人の元々の健康状態が同じであったと仮定した場合には、論文の著者らの解釈は正しいと言えます。

 しかし、イスラエルの調査[1]で、4回目の接種初日からCOVID-19に罹る危険度が、3回目まで接種した人の約半分(0.45)でしたから、4回目接種者はすごく健康だったと言えるでしょう。これでは、健康状態が同じだったとは仮定できません。

 

 以上をまとめると、ワクチン接種3回目までの人は、健康に問題があって4回目を接種できなかった人が多いはずですので、ワクチン4回目を接種した人(できた人)は、3回目までで接種を止めた人よりも健康だと考えられます。

 

 ここで、健康者接種バイアスを補正すると、図のB.補正後のような分布になり、A.補正前に比べてグラフは大きく右に動きました。このブラフは、接種後3~6か月では、ワクチン4回接種者は3回目まで接種者に比べて2.3倍COVID-19に罹りやすいということを示しています。

 つまり、「コロナ」ワクチンは、

COVID-19を減らすどころか2倍超に増やしている

と、言えます。

 


       ~Q&Aコーナー~

 

 

  …とは言っても、

 一般の人と医療従事者では、感染のリスクの度合いが違うので、

 同じようには比較できないんじゃないかなぁ?

  その点はどうなんですか?

  その点は気になりますね。

  一般人と医療従事者では、医療従事者のほうが感染リスクの高い環境に長時間滞在しているため

  絶対的な健康度に差があって当然なのですが、

  ここでは、体調がすぐれない人のワクチン接種を避ける割合や、COVID-19に罹るリスク

  (コロナで発病するリスク)に焦点を当てています。

  生活環境が違っても、その点については、一般人と医療従事者の間で、それほど差がないのです。

 

 ~参考文献~
1) Magen O, Waxman JG, Makov-Assif M R et al. Fourth Dose of BNT162b2 mRNA Covid-19 Vaccine in a Nationwide Setting. N Engl J Med. 2022; 386(17):1603-1614.
doi: 10.1056/NEJMoa2201688. Epub 2022 Apr 13
2)薬のチェック編集委員会、ワクチン、打つ?打たない?もっと知ろう、薬のチェック2022:22(104):128-139.
3) Canetti M, Barda N, Gilboa M et al. Six-Month Follow-up after a Fourth BNT162b2 Vaccine Dose. N Engl J Med. 2022 Dec 1;387(22):2092-2094. doi:10.1056/NEJMc2211283. Epub 2022 Nov 9. PMID: 36351266
4)MedCheck editorial team. To Be Vaccinated or Not? Points You should Know. MedCheck in English. 2022: 8(25): 40-53.

<<一般向け>>No.1:オミクロン対応ワクチンも無効

オミクロン対応の BA4/5ワクチンも無効です

中国の武漢に起源をもつ「コロナ」ウイルス(SARS-CoV-2)を起源ウイルスといいます(厚生労働省でもこのように呼んでいます)。当初から接種に使っている「コロナ」ワクチンは、この起源ウイルスに対する抗体(起源抗体)を作らせるものですので、「起源ワクチン」と呼びます。
「オミクロンワクチンが無効」と結論した主な理由を3つ述べます。

  1. 起源ワクチンがオミクロン変異ウイルスに無効、と判断できる論文があります。
  2. 「重症例に効く」と専門家がいうのは、健康な人に接種した時に生じる影響を無視しているためです。これを「健康者接種バイアス」と言います。ワクチンの効果と安全性における評価に大きく関係していて、とても重要な要因です。
  3. どの場合でも最も多くできるのは起源抗体です。起源ワクチンを打った人にオミクロン対応ワクチンを打っても、起源抗体が多くできるのです。これは起源ワクチンがオミクロン抗体をできにくくしているためです。つまり、オミクロン株ウイルスに感染しやすくなります。この現象は、国の会議でも話題になった「初抗原原罪原理」という理論です。

薬のチェック104号総説では、これら3点についてデータを示して解説しました。
「コロナ」ワクチンを接種していても、オミクロン株ウイルスによる世界的な第6波、第7波の流行にはほとんど無効であった現象は、「健康者接種バイアス」と「初抗原原罪原理」で説明ができます。

BA4/5対応ワクチンも無効の証拠が現れる

薬のチェック104号を校了した時点では、BA4/5二価ワクチン(BA5ワクチン)に関するデータは不十分でした。その後、2022年10月24日に、明瞭に無効を示すデータが公開されました(BioRxiv)。そのデータも併せて「もっと知りたい」に載せています。

その論文では、ワクチンの効果があるかどうかを、どのようにして調べたのですか?

主に、起源ワクチンを3回目まで接種した人に対して、4回目のワクチンとして
●起源ワクチンを追加した人(平均55.3歳)と
◆BA5ワクチンを追加した人(平均36.4歳)とで比較しました。
何を比較したかというと、BA5に対する中和抗体価です。その結果を図に示します。

ちょっと待って。中和抗体価って、何ですか?

ウイルスに感染したり、ワクチンを打つとできる抗体のうち、
ウイルスの働きをなくする(中和する)ように働く抗体を「中和抗体」といいます。
図:4回目として起源ワクチンと、BA5ワクチンによる抗体上昇の比較
原著[2]のFigure 1Bより翻訳、一部抽出。起源ワクチン3回接種後、起源ワクチン追加(起源4回)と、BA4/5ワクチン追加で、BA4/5抗体の上昇は全く差がなかった。起源抗体は、起源ワクチンのみがやや多かったが、統計学的な差は有意でなかった。BA5ワクチンを追加しても、BA4/5抗体の上昇は、起源抗体上昇の5分の1に過ぎなかった。

Q:結果はどうだったのですか?
A:起源ワクチンを追加した人BA5ワクチンを追加した人で、BA4/5抗体の上昇は全く差がありませんでした。
BA5ワクチンを接種した場合のBA4/5抗体の上昇は、起源抗体の上昇の5分の1に過ぎません。そして、起源抗体の上昇は、起源ワクチンを追加した人のほうがやや多かったけれども、統計学的な差は有意ではありませんでした。

Q:2つのグループは年齢差があります。その影響はないのでしょうか?
A:確かに、年齢差がありますね。しっかりとした抗体ができるのはどちらと思いますか?

若い人のほうが基礎体力があるでしょうから抗体もできやすいと思います。

その通り。BA5ワクチンでBA4/5抗体価が高くなることを期待できるはずですが、差がなかった。
だから、年齢を同じにしても差がないことには変わりないはずです。

副反応や重い害はどうなのでしょうか?

COVID-19(いわゆる新型コロナ感染症)の発病を減らせないうえに、害は、起源ワクチンと変わらないはずですから、「得られる利益がないのに、害だけがある」のです。

Q:つい最近のニュース(2022年11月5日)で、ワクチンを接種して約1時間半後に
急死した42歳の女性のことを知りました。この場合もワクチンの害といえるのでしょうか?
A:厚生労働省が発表した資料に詳しく症状が報告されています。
その経過を見ると、劇症型のアナフィラキシーでしょうね。
この問題は、番外編No.2と薬のチェック105号(2023年1月発行)で取り上げます。
COVID-19の発症を防止する利益がないのに、害だけは減りません。
ワクチン接種はやめるようにしないといけないです。