「コロナ」ワクチン(正式にはSARS-CoV-2ワクチン)を打っても
変異したオミクロン株のウイルスには効かない
それどころか・・・
「コロナ」ワクチンはCOVID-19を2倍超に増やしている!?
よく耳にするファイザーワクチンやモデルナワクチンなどの「コロナ」ワクチンは、開発された当初、欧米で激しく流行していましたが、変異があまり著しくなかったこともあり、COVID-19の発病を95%予防していました。
ところがその後、ウイルスは、アルファ株やデルタ株、オミクロン株と変異を繰り返し、昨年(2022年)の冬から日本でも大流行したオミクロン株に至っては、ほとんどワクチンが効かなくなってきたのです。(薬のチェック106号参照)
その証拠として、イスラエルの調査[1]を簡単に紹介します(薬のチェック104号[2]で詳しく解説)。
ワクチン4回目を接種した人と、接種3回目までの人のCOVID-19発症リスク(発症しやすさ)を比較すると、4回目を接種した人の発症率が接種3回目までの人よりも低かったのでした。
4回目接種後7-30日後にはCOVID-19の発症は、接種3回目までの人の45%でした。
この結果は、一見ワクチンが効いているように見えます。
そのため、この論文の著者らは、100-45=55%、つまり、発症を55%防止したと報告しています。
しかし、調査結果をよく吟味すると、4回目を接種した人は、接種した初日からすでに、接種3回目までの人の45%の割合しか発症していませんでした(図1Aで1日目の罹患率比IRR=0.45)。
ここが、注目すべきポイントです。
ワクチンは、体にウイルスをやっつける抗体が作られてからでないと力を発揮しないため、接種したその日に効果はでません。
追加接種(2回目以降の接種)では、1回目の接種に比べて抗体の作られるスピードは速いですが、それでも初日から効くことはありません。
つまり、発症率(罹患率)が低かったのは・・・
4回目を接種した人は3回目までの人よりも、もともと健康であったからだ
ということを示しています。
加えて、初日の健康状態は、ワクチン接種日以降の発症のしやすさにも影響してきます。
そのため、初日の健康状態が今後も続くはずだと仮定して、接種後のデータを補正する必要があります。
様々な影響を加味したうえで計算をすると、
ワクチンが効いているとは全く言えない!!
のです。
初日の発症率の違いをもともとの健康状態の違いとして、その後の発症危険度を補正すると(図の下に「補正」の解説あり)、接種後28~30日目には、ワクチン4回目を接種した人は接種3回目までの人よりも少し発症者が多くなる兆候が現れていたので
もっと長期間観察すれば、発症者はさらに増えるのではないか、と推察されました。
そこで紹介するのが、ワクチン4回目接種後、半年間追跡した結果です。
イスラエルの調査[1]のデータを見たときに、とても気になっていました。
(追跡調査における対象が、医療従事者で前回の一般人口と異なっていますが、その問題については文末のQ&Aコーナーで触れます)。
次の図は、ワクチン3回接種者に対する4回接種者のCOVID-19へのかかりやすさの推移を表しています。
Magenらのデータ[1]がイスラエルの調査[1]、Canettiらのデータ[3]がイスラエルの調査[3]の結果となります。
図: 3回接種者に対する4回接種者のCOVID-19へのかかりやすさの推移
(SARS-CoV-2ワクチン:イスラエル一般人口と、医療従事者)
~図の説明~
[1]イスラエル、一般人口、30日まで追跡、[3]イスラエル、医療従事者、181日まで追跡。A:補正前は、報告者の報告結果どおり。B:補正後は、全IRRをそれぞれ、[1]における初日のかかりやすさ□(IRR=0.45)で割った(除した)危険度。こうすることで、4回接種者と3回接種者の健康度をそろえる(出発点を公平にする)ことができる。補正前の[1]の14-30日□(中央値22日)と[3]の7-35日□(中央値21日)の危険度がいずれも0.48と同じであるため、[3]の補正のために[1]の初日のかかりやすさ□(IRR=0.45)を用いることができると考えた。なお[1]の中央値を21日にそろえるために12-30日の危険度を求めると、0.49(0.47-0.51)とやはりほぼ同じであった。IRR: incidence rate ratio(罹患率比)、adIRR:補正罹患率比、HR:ハザード比、adHR:補正ハザード比:95%CI:95%信頼区間、LL:下限、UL:上限
図の中に、補正前と補正後とありますが
補正とはなんですか?
接種した人と、接種していない(またはできなかった)人とを比較するときに、
その人の年齢や性別や健康状態などが異なっていたら正確な比較とは言えないでしょう?
だから、なるべく同じ状況にそろうようにすることを
「補正する」または「調整する」
と言います。
確かに・・・
比較するためには同じ状況にそろえる必要がありますね。
そう言えば・・・
ワクチンを接種するとき、健康状態でないと接種できないですよね。
その通りです。
ワクチン接種者は非接種者よりも健康です。
このために調査結果に歪み(偏り)が生じることを一般的に
「健康者接種バイアス」と言います。
「比べる」ことって、奥が深いんだなぁ~・・・
なるべく同じ状況となるように仮定して
調整されたものが、B.補正後のグラフなんですね!
図のA.補正前での[3]の7-35日□を見てください。
■が縦線(1.0)よりも左にあり、危険度の表示(HR:ハザード比)が0.48となっています。論文の著者らは、ワクチン接種で、接種後1週間から1か月程度は感染・発病を半分にし、3か月目までは40%程度少なくしたと言っています(図:A補正前)。
4回目のワクチンを接種した(できた)人と3回目までで接種をやめた人の元々の健康状態が同じであったと仮定した場合には、論文の著者らの解釈は正しいと言えます。
しかし、イスラエルの調査[1]で、4回目の接種初日からCOVID-19に罹る危険度が、3回目まで接種した人の約半分(0.45)でしたから、4回目接種者はすごく健康だったと言えるでしょう。これでは、健康状態が同じだったとは仮定できません。
以上をまとめると、ワクチン接種3回目までの人は、健康に問題があって4回目を接種できなかった人が多いはずですので、ワクチン4回目を接種した人(できた人)は、3回目までで接種を止めた人よりも健康だと考えられます。
ここで、健康者接種バイアスを補正すると、図のB.補正後のような分布になり、A.補正前に比べてグラフは大きく右に動きました。このブラフは、接種後3~6か月では、ワクチン4回接種者は3回目まで接種者に比べて2.3倍COVID-19に罹りやすいということを示しています。
つまり、「コロナ」ワクチンは、
COVID-19を減らすどころか2倍超に増やしている
と、言えます。
~Q&Aコーナー~
…とは言っても、
一般の人と医療従事者では、感染のリスクの度合いが違うので、
同じようには比較できないんじゃないかなぁ?
その点はどうなんですか?
その点は気になりますね。
一般人と医療従事者では、医療従事者のほうが感染リスクの高い環境に長時間滞在しているため
絶対的な健康度に差があって当然なのですが、
ここでは、体調がすぐれない人のワクチン接種を避ける割合や、COVID-19に罹るリスク
(コロナで発病するリスク)に焦点を当てています。
生活環境が違っても、その点については、一般人と医療従事者の間で、それほど差がないのです。
~参考文献~
1) Magen O, Waxman JG, Makov-Assif M R et al. Fourth Dose of BNT162b2 mRNA Covid-19 Vaccine in a Nationwide Setting. N Engl J Med. 2022; 386(17):1603-1614.
doi: 10.1056/NEJMoa2201688. Epub 2022 Apr 13
2)薬のチェック編集委員会、ワクチン、打つ?打たない?もっと知ろう、薬のチェック2022:22(104):128-139.
3) Canetti M, Barda N, Gilboa M et al. Six-Month Follow-up after a Fourth BNT162b2 Vaccine Dose. N Engl J Med. 2022 Dec 1;387(22):2092-2094. doi:10.1056/NEJMc2211283. Epub 2022 Nov 9. PMID: 36351266
4)MedCheck editorial team. To Be Vaccinated or Not? Points You should Know. MedCheck in English. 2022: 8(25): 40-53.