創刊のことば

この本は、良い薬と悪い薬を見分け、良い薬を正しく使うために、患者(医療消費者)の身になって必要な情報を提供するものです。
そうすることで、患者にとってはもちろん、患者の家族、日頃から健康に気を配っている人、医療を提供する側、あるいは薬害を防止するために活動している人々にも役に立つ、質の高い、しかも楽しい本にしたいと願っています。
そのために私たちが心がけようと思っている事柄を述べます。

患者の身になった必要な情報にするために

今かかえている苦痛をまず軽くすることは大切ですが、それと同時に最終的に健康を早く取り戻すことが重要です。目先の苦痛を一時的にはしのげても、最終的に病気が悪化したり、副作用が強く出たり、後遺症に悩まされたり、早く死んでしまっては何にもなりません。
今、世の中には一時しのぎの薬や、最終的な効果が分からないで使っている薬が氾濫しています。それらに惑わされないためには、最終的な結果もきちんと知って、薬が良いか悪いかを判定する必要があります。この本では、病気についての話と、それに使う薬が良いか悪いかを分かりやすく解説します。そのように本当に患者の身になって必要な情報をお届けします。

科学的根拠に基づいた情報

患者(医療消費者)の思いにかなった、役立つ薬かどうかを科学的に確かめるために、最新の情報を広く集めて詳しく検討し、その結果をお届けします。
一見したところ科学的な装いを凝らしているものの、実はまるでいい加減な情報が溢れています。国が承認したり、大学の教授や権威者とされる人たちが、効く、安全、と保証しても実は全く根拠のないものであった事例は、さまざまな薬害で明らかです。

患者の思いにかなう情報は医療提供者側の人々にも役立つ

この本は、患者(医療消費者)の思いに本当にかなう役立つ情報を目指しています。だから、患者にとって本当に役立つ薬を選び、それを適切に使い、誠実に医療を実践しようとする医療提供者側の人々にも必ず役立つはずです。

また、患者と医療提供者、あるいは医療従事者どうしで、どのようなことを疑問に思い、困惑し、躊躇しているかをお伝えし、それを一歩でも解決しようとした試みを、この本で紹介しようと思います。

海外の医療消費者の動きについてもお知らせします

日本で行われている医療が、国際的なレベルとはまるでかけ離れた日本だけの薬や治療であることは少なくありません。国際的な水準の薬とその使い方を見比べながら、日本のみなさんにふさわしい薬、その使い方を解説した情報をお届けします。
今後の日本の医療のあり方を考えるうえで役立つと思います。
この本で、くすりをチェックし、一つしかないあなたの命を大切に!

2001年1月、「薬のチェックは命のチェック」創刊に際して(浜 六郎)